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放射能泉の安全に関するガイドブックより

第一章「日本の温泉の現状」

森 繁哉、堀内 公子、前田 勇、山村 順次、猪熊 茂子、早坂 信哉、後藤 康彰

日本の温泉地の現状と課題 -国民保養温泉地の振興を中心に-
山村 順次 (千葉大学名誉教授)

はじめに

わが国では、観光地の形成・発展は温泉資源の有無と、その利用の仕方いかんに関係してきたといっても過言ではありません。それは、古くから温泉の効能が重視され、温泉地は湯治場として成立するとともに、日本人が温泉入浴を好み、温泉地に宿泊する観光行動をとるからであり、温泉地に旅館が集中して観光産業を発展させてきたのです。温泉の資源価値は観光経営にとっても最も重要であり、多額の費用をかけて1,000mを越える大深度掘削をあい、温泉を得ることが各地で行われてきました。特に、政府が1988年に全国の市町村に一律に1億円を交付して自由に使わせた、いわゆる「ふるさと創生事業」では、温泉のなかった地域で温泉開発が急増しました。しかし、貴重な温泉を有効に利用しているところもあれば、温泉の温度が低かったり、湯量が少なく、また施設建設に障害があったりして、その利用が中止されたところもあります。

日本の温泉地は、一般的に療養温泉地(湯治場)から保養温泉地へ、そして観光温泉地へと変質し、経済的には顕著な発展をとげてきました。療養温泉地は病気治療や病後の保養を第1の目的とした温泉地であり、長期の滞在が必要です。保養温泉地は病気予防・健康保持を目的とし、いわゆるのんびりと保養・休養する温泉地として性格付けられます。観光地の機能は多岐にわたりますが、観光活動における1泊の宿泊地としての役割を強め、現在では療養・保養温泉と比較して温泉の質や効能などの意義は2次的なものとなりやすいのです。

2010年現在、全国に1軒以上の宿泊施設のある温泉地は3,185ヵ所あり、その泉質や湧出量、宿泊施設の規模や経営形態、地域の立地条件、歴史や自然環境などは、それぞれに個性的です。本稿では、日本の温泉地の現状と課題を概観するとともに、今後の温泉地のあり方を考える際に重要な環境省指定国民保養温泉地を取り上げ、地域性豊かで国民の保養に資する持続可能な温泉地の振興策を提示したいと思います。

(1)温泉資源と温泉利用の地域的特性

第2次世界大戦後、1960年代から70年代前半にかけての高度経済成長期を通じて、療養・保養温泉地の観光温泉地化が急速に進み、さらに歓楽温泉地へと変質することで温泉地は繁盛しました。一方、東北地方を中心として、上信越地方・九州山地などの山岳地域に療養温泉地が残される状況となりました。ここで、環境省の統計によって1972年と2010年の38年間における全国の温泉資源と温泉利用状況の変化をみると(表1)、宿泊施設が1軒以上ある温泉地の数は1845ヵ所から3185ヵ所へ、源泉数は1万6,308ヵ所から2万7,671ヵ所へ、温泉湧出量は毎分133万Lから269万Lへと大幅に増加しました。湧出量の変化では、特に温泉資源性に富んでる東北地方と信越地方増加が著しく、1980年以降の大深度掘削の導入によって、温泉地域としての性格が弱かった近畿地方や中国・四国地方でも湧出量が増えました。しかし、温泉の自噴率は47%から28%へと全国的にその割合を減じました。

(2)温泉宿泊客の地域的特性と志向性

1972年から2010年の間に、温泉地延宿泊客数は1億1,792人から1億2,493万人hwと増えましたが、温泉旅館の稼動率は37%から24%へと減少しました(表1)。

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歓楽温泉地が集中していて宿泊客数では長い間主位を保ってきた静岡県は2002年にはすでに北海道に抜かれ、静岡県は全国に占めるシェアを15%から9%へと減少させました。一方、観光資源に富み、飛行機による格安ツアーがさかんとなった北海道のシェアは8%から10%へと増加しました。静岡県の温泉旅館の稼動率は52%から20%へと激減し、和歌山・鹿児島県とともに歓楽温泉地が多かった県の衰退傾向を示しています。

 日帰り温泉施設の急増もこの時期の特色でした。1972年には1,746ヵ所に過ぎなかったのですが、2010年には、4.5倍の7,902ヵ所に急増しました。公的補助事業のもとに市町村などが温泉浴場の経営に参加し、さらに非火山地域でも温泉開発が可能となったので、日帰り温泉施設が全国的に展開しました。その分布を見ると、2010年に200ヵ所以上の道県は、長野県の775ヵ所を筆頭に鹿児島(558)、北海道(478)、静岡(457)、大分(389)、熊本(320)、群馬(285)、青森(284)、福島(220)、栃木(217)の温泉資源性が高い道県が続いています。日本温泉協会は新宿駅での温泉展に際して客にアンケートを実施し、温泉客の志向性が明らかになりました(表2)。

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最も行きたい温泉地の上位10位は、草津を筆頭に以下に別府、箱根、黒川、下呂、由布院、有馬、登別、乳頭、八幡平が続き、温泉地の規模に関係なく選ばれています。しかも、別府、黒川、由布院、乳頭、八幡平は国民保養温泉地でもあります。草津が圧倒的な支持を受けている背景には、東京に近接していることも大きいのですが、温泉資源の良さ、湯畑を取り巻く町並みの温泉情緒、周辺の自然環境の良さなどが高く評価されているからです。以下の温泉地でも、温泉地にとって重要なこの3要素が高率であることが指摘され、首都圏から遠い山間の秘湯的な乳頭温泉郷や八幡平温泉郷が、行きたい温泉地の上位にランクされるようになりました。

温泉地に望む施設やサービスとして、観光ガイド(54%)、散策案内(42%)、マッサージ(25%)、特産品販売(24%)、入浴指導(19%)、森林浴指導(16%)、郷土史講座(17%)、郷土料理指導(17%)、観光果樹園(16%)、健康相談(15%)などが上位に指摘され、温泉地として急速に対処しなければなりません。これまでは、温泉地に望む施設としてまず露天風呂が挙げられていましたが、最近では温泉地で憩うなかで地域の特色を多面的に知りたいとの要望が強くなっており、地元民と温泉客との触れ合いが大切であることを示しています。

(3)国民保養温泉地の現状と課題

近年の温泉客の動向を踏まえ、地域性を活かした持続可能な温泉地域づくりにとって環境省指定の国民保養温泉地を振興することが重要であるとの視点から、以下にその現状と課題をまとめました。

第2次世界大戦後、経済成長のもとに観光ブームが到来すると、従来の湯地場や保養温泉地が団体慰安会を中心とした観光・歓楽温泉地へと変容する傾向が著しくなり、中央の行政当局としては温泉資源の保護を図り、温泉本来の療養・保養機能を維持する温泉地の存続策が急務となりました。ここに1954年、当時の温泉行政を管轄していた厚生省(現環境省)によって、国民保養温泉地制度が実行に移され、その第1号に酸ヶ湯温泉・日光湯元温泉・四万温泉の3ヵ所が指定されました。この指定は、「温泉の公共的利用増進のため、温泉利用施設の整備および環境の改善に必要な地域を指定することができる」という温泉法25条の定める「地域の指定」によるものでありました。その2年前の1952年に、指定温泉地の選定についての都道府県知事宛の通知が出され、選定標準のうち温泉資源については、①泉効が顕著であること、②湧出量が豊富であること、③利用上適当な温度を有すること、温泉地の環境については、①環境衛生的条件が良好であること、②付近一帯の景観が佳良であること、③温泉気候学的に休養地として適していること、④適切な医療施設及び休養施設を有するか又は将来施設し得ること、⑤交通が比較的便利であるか又は便利になる可能性のあること、⑥災害に対し安全であることが規定されました。

これらは、保養温泉地として重要な要件であり、現在、環境省はその現状に照らして国民保養温泉地のあり方を再検討しつつあります。その後、国民保養温泉地の指定が進んで、現在では91温泉地域(図1)、162ヵ所の温泉地が指定されているものの、社会経済と温泉客の志向性が大きく変化する中で、その形態と機能が当初の指定条件から離れて多様性を持つようにもなってきました。

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国民保養温泉地といっても、その存在を知る人は少なく、また指定温泉地の観光経営者自身が保養温泉地としての意識を持っているとは限らないのが現状です。今日の温泉地の多くが1泊宿泊型の観光温泉地であって、少なくとも数日は宿泊する滞在型温泉地経営に目を向けた温泉旅館が少なく、箱根湯本温泉のように、多数の日帰り客を受け入れてレジャー要求性を追求する経営に転換した旅館も発生しています。  国民保養温泉地に指定された91の温泉地域の中には、数ヵ所の温泉地を含んでいるところも多いのですが、ここでは、まず91温泉地について現状を見ましょう。国民保養温泉地は、北海道から九州にいたるまで全国的に指定されていますが、中部地方と東北地方に多く、関東地方と近畿地方では指定数が少ないことが指摘されます。いわゆる大都市圏に近い温泉地は観光地化が進んだことを示しています。

国民保養温泉地制度が始まった当初の10年間で、現在の約3分の1の温泉地が指定を受けました。北からカルルス・北湯沢・ニセコ・酸ヶ湯・八幡平・須川新湯・奥鳴子川渡・蔵王・岳・新甲子・日光湯元・四万・弥彦岩室・六日町・白山・下部・丸子・平湯・畑毛奈古谷・熊野本宮・三瓶・鷲の湯・湯原・湯来湯の山・俵山・三丘・雲仙小浜・天草下田・南小国・湯布院・霧島の31温泉地域です。今日いずれも保養温泉地としての性格を維持していますが、観光地化が著しい温泉地もあります。さらに、その後、10年間を加えると約3分の2が該当し、制度発足後の比較的早い時期に指定された温泉地が多いのです。指定開始後、5年を経た1959年から園地・温泉地・駐車場などの施設整備について国庫補助が行われるようになり、国・県・市町村が各3分の1の負担をしました。しかし、1959年から20年間の国庫捕縄金は総額3億8,000万円に過ぎず、当時の農林省の補助金に比べて温泉行政の弱さが指摘されます。

その後、こうした施設整備への国庫補助が一時中断された際に、国民保養温泉地の見直しが行われ、1981年から国民保養温泉地のうち特に保健機能の強い温泉地を「国民保健温泉地」に指定し、重点的に整備することにしました。とはいえ、初年度に指定された四万・栃尾又駒の湯・丸子温泉郷・白川郷平瀬・俵山・湯の鶴・湯布院の7地区に対して、わずかに5,000万円が補助されただけでした。その後、その指定温泉地は21地区に増えました。また、1993年からは「ふれあい・やすらぎ温泉地」制度が発足し、20の国民保養温泉地で温泉センター・共同浴場・探勝路などが整備されました。

990年代以降の経済停滞の下、高齢化社会への展開、高速交通網の全国的整備、大深度掘削による非火山地域での温泉掘削の増加、ふるさと創生1億円事業による自治体経営の日帰り温泉施設の急増、格安の海外旅行や国内ツアーへの志向性の伸び、国内旅行の「安・近・短」化、都市住民のストレス増加傾向など、様々な社会経済状況を反映して国民の温泉志向性も多様化しつつ大きく変化し、温泉地の盛衰もまた顕著に現れるようになりました。 

温泉資源・自然環境や町並み整備など、地域の環境保全を軽視してきた大型観光温泉地の凋落傾向は著しく、反対に大自然の真っ最中にあって「源泉かけ流し」の温泉が豊富に湧き出し、古い建物ですがそれが温泉情緒を醸し出し、さらに人々との触れ合いが強い小規模な湯治場や保養温泉地が活性化するようになってきました。国民保養温泉地に指定されている温泉地の多くは、近年のこうした国民の温泉ニーズに対応しつつ発展策を検討しています。2005年度の年間延温泉地宿泊客数は1億3,700万人ですが、そのうち国民保養温泉地宿泊客数は1,500万人を数え、その構成比は11%を占めています。

ここで、2002年の資料により国民保養温泉地の温泉湧出量・温泉資源指数(宿泊定員あたり毎分温泉湧出量:L/人)・宿泊客数を指標として地方別にまとめました(表3)。

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温泉湧出量については、東北・中部・九州地方に有力温泉地が多いことが指摘されます。しかし、全国的には毎分2,000L未満の温泉地が約60%であり、1,000L未満は37%を占めています。次に、温泉資源の適正量を示す温泉資源指数では、3以上の高い数値は大都市圏から遠隔の北海道をはじめ、東北・中部・中四国・九州地方の温泉地が相対的に多くなっています。一般に、温泉資源指数は1が一応の基準値(最低0.5以上は必要)であると言われていますので、全国的に国民保養温泉地の33%が1未満であることは問題です。宿泊客数は、東北・関東・九州地方の温泉地で相対的に多く、30万人以上の温泉地が14温泉地があります。全国的には宿泊客5万人未満が44%を占めており、国民保養温泉地は一般に小規模です。

温泉資源指数と宿泊客数との関係を温泉地ごとにみると、宿泊客数30~50万人ほどの中規模温泉地では、観光化が進んでいて宿泊施設の収容定員が増加したことを反映し、温泉資源指数は相対に低下して1未満となっています。一方、温泉資源指数が5以上で著しく高い温泉地は、恵山・十勝岳・然別峡・雌阿寒・湯ノ岱・ながぬま・洞爺陽だまりなどの北海道の温泉地が多く、その他では八幡平・秋の宮・須川真湯・碁点・沓野・三瓶・湯来湯の山・三岳・湯の鶴・湯布院・長湯などの山間の中小温泉地が該当しています。これらの温泉地は、温泉資源的には高い開発潜在性を有しています。近年では国民保養温泉地であっても、日帰り客数が多くなっていることも指摘されます。

次に、日本温泉協会のアンケート資料によって、国民保養温泉地における行政・団体の取り組み、宿泊施設と利用客についてまとめました。まず、134温泉地の泉質は、塩化物泉25%と単純温泉24%で半分を占め、以下硫黄泉16%、硫酸塩泉11%、炭酸水素塩泉10%の順です。源泉の温度は42℃以上が56%で半数を超え、25~42℃が38%です。温泉保護のために集中管理をしている温泉地が31ヵ所で多く、行政がかかわっている公衆温泉浴場も51ヵ所で特に多いです。園地や遊歩道の整備も平行して進めており、散策コースの工夫や観光案内所での観光資料配布は、ほとんどの温泉地で行われています。温泉地周辺の自然環境や町並み・景観の保全に努めている温泉地も多くなっています。

しかし、指定条件として重要な顧問医については、一応設けているのは23温泉地であり、常設または定期的に指導を受けているのは13温泉地に過ぎません。国民保養温泉地の行政担当者として、指定されているために効果があったと答えたのは、「集客宣伝」64%、「国や県からの支援」47%、「温泉関係事業者協力」36%でした。

国民保養温泉地の宿泊施設や温泉事業者が、指定の有無について「よく知っている」62%、「聞いたことがある」23%という回答では、選定基準を「あまり知らない」32%、「知らない」17%という結果も当然のことです。したがって、温泉地のPRでは34%、施設経営上では23%が効果ありと答えていますが、ほとんどの観光経営者が国民保養温泉地の存在をあまり問題にしていないのが現状です。一方、国や県に対しては、宣伝の周知、温泉資源保護調査、道路・河川整備などを多くの事業者が要求し、約70%が国民保養温泉は良好な印象を与えることができるとしています。そこで、国民保養温泉地指定に際しての条件については、新基準の設定9%、一部を厳しく修正32%、一部を緩やかに修正21%となっており、3分の2が何らかの修正を求めています。

日本温泉協会による国民保養温泉地利用客約1,200人に対するアンケート調査(表4・表5)では、国民保養温泉地利用客であっても、その存在を知らない人が41%に達し、よく知っている人は21%です。したがって、温泉療養を目的とした高齢者に偏ることもなく、各年代層わたって来湯していることが分かります。しかし、年代別の宿泊目的をみると、20~40代では観光が40~50%台を占め、保養がこれに次いで30~40%代となっています。50代以上ではそれが逆転し、70代以上の高齢者になると、保養と療養が各40~50%台を占めるようになります。滞在日数は高齢化するほど増加し、60代で3泊以上が33%、70代で55%、80代で75%となります。これに対応して高齢者のリピーターが増えています。ここに、温泉利用客は国民保養温泉地指定の有無に係わらず、静かな環境下で時間をかけて心身を癒すことができる保養空間を求めているのです。

利用客の評価をまとめると、「大変良い」の割合は、温泉資源74%、ストレス解消・自然環境が各62%と高率であり、温泉情緒・医療効果・料理も各40%台でした。温泉療養効果を期待しているのは、腰痛などの61%が著しく多く、神経系・糖尿病・リハビリ・リウマチなどで各10%台を示しています。全般的に、温泉による身体への効果は「良くなった」が41%、「少し良くなった」が36%を示し、77%が何らかの改善をみました。

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(4)国民保養温泉地の振興策

 今後の日本の温泉地を方向づけるキーワードは保養温泉地であり、持続可能な保養温泉地づくりに際して、国民保養温泉地の役割は大きいのです。そこで、各温泉地が温泉資源・立地条件・観光市場を検討した上で地域の適正規模を明らかにし、保養温泉地としての以下のような施策を展開する必要があります。

①健康づくり(ウエルネス)温泉地としての保養温泉地は、人々が健康保持のために温泉に浸かって心身を癒すための場をいかに提供するかが大切となります。その際、旅館の大浴場や露天風呂、共同浴場や日帰り温泉施設など、どのような温泉浴場を利用するにせよ、浴槽での本物の温泉の存在が問われます。源泉の泉質が維持され、その湯量が適正に利用されることが肝要です。従来のように泉質から見た適応症を強調するだけでなく客がリラクゼーションできるような温泉浴のメニューが必要です。また、温泉利用面での衛星や混雑問題など、温泉資源と観光経営とのアンバランスが起きないように、収容人員当り毎分温泉湧出量が1Lを超えるものを温泉適正利用の標準とすることです。なお、現在環境省の案として、宿泊客1人当り温泉湧出量は毎分0.5L以上が検討されています。

②保養温泉地では数泊の滞在が望まれます。そこで宿泊費がかさむことが問題になりますが、ウィークデイの宿泊稼動率を上げる努力をし、宿泊分離による宿泊費の低廉化を図り、保養客の滞在生活にとって楽しみを増やすようなメニューを考案することです。例えば、温泉浴における健康運動やエステティック、大広間でのスライドやビデオなどを加えた地域の自然や文化の紹介温泉療法医による健康講話、ボランティアガイドによる地域観光スポットのなどの無料案内を実施するのです。

③環境省の国民保養温泉地は、今こそその意義を強調して、新たな体制のもとに保養温泉地の活性化を推進すべきです。現在の指定温泉地の所在行政当局が参加する国民保養温泉地協議会ではなく、経営の最前線にいる保養旅館を加えた組織に再編し、客が温泉地に求めている温泉資源・温泉情緒・自然環境の3要素を保全しつつ温泉地の歴史・文化を前面に出して、外国人をも誘致するような世界に誇れる保養温泉地を形成することが求められます。

参考文献

  • 日本温泉協会(2003):『平成15年度国民保養温泉地における温泉の利用に関する検討調査』同協会、383頁。
  • 同(2004):『平成16年度国民保養温泉地における温泉の利用に関する検討調査』同協会、325頁。
  • 同(2005):『平成17年度国民保養温泉地における温泉の利用に関する検討調査』同協会、271頁。
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