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放射能泉の安全に関するガイドブックより

第四章「放射能泉の療養保養地情報」

3.玉川温泉

(1)玉川温泉の概要

玉川温泉は、秋田県と岩手県の県境近くの秋田県仙北市にあり、首都圏からは秋田新幹線で3時間半、JR田沢湖駅から路線バスに乗り継いで1時間のところにあり、ぶなの原生林に囲まれた標高740mの十和田八幡平国立公園の中の温泉であります。冬期(12月~4月中旬)は国道341号通行規制があり、一般車両は通行止めとなり路線バスでのアクセスとなります。玉川温泉の源泉は、806年に焼山の噴火後に噴出したと言われており、1681年に源泉「大噴(おおふき)」が発見されました。佐竹藩時代に硫黄を採取精錬していましたが、その後人跡未踏のまま放置された状態が続き、明治17年に湯治場開設が申請されているものの、湯華の採取が盛んに行われておりました。

玉川温泉を経営する株式会社湯瀬ホテルの創業者「五代関直右衛門」が、玉川温泉に湯治してその効能に驚き、難病に悩んでいる人たちに広く利用してもらいたいとの思いから、昭和7年に玉川温泉の権利を取得し、本格的に湯治場開発に着手しました。五代関直右衛門は、玉川温泉を湯治場として発展させるためには道路の開発が必須と考え、私財を秋田県に寄付して、県道角館線(現国道341号)の延長工事を依頼し、昭和25年、ついに玉川温泉まで開通しました。

また、玉川温泉の特異な泉質の研究のため、先代の遺志を継いだ六代関直右衛門は、昭和18年に社団法人玉川温泉研究会を設立して、東京大学、東北大学等の権威の先生方から参加をいただき、科学的・医学的研究が続けられ、多くの成果を残しております。現在は、玉川温泉内にある付属診療所で、毎週1回、医師が湯治客の無料相談に応じてるほか、玉川温泉、新玉川温泉ともに看護師が常駐しており、湯治客の状態に応じた入浴相談を実施しております。苦痛を伴うガン治療から逃れて玉川温泉にかすかな希望をもって温泉療養するガン患者のドキュメント番組が放映され、多くの反響が沸き起こりました。玉川温泉だけの天然岩盤浴や北投石のラジウム放射線、大噴付近のマイナスイオン、塩酸を主成分とした強酸性の温泉、玉川温泉はいろいろな要素が相互に作用して、温泉療養を一段と効果的に導いているものと考えられます。

(2)日本一の強酸性泉

玉川温泉の源泉は「大噴(おおぶき)」と呼ばれ、98℃の温泉が毎分9,000リットル湧出しており、1ヶ所からの湧出量としては日本一の量であり、湯川となって流れております。また、塩酸を主成分とした、稀な温泉でもあり、p.H1.2の日本一の強酸性の温泉でもあります。温泉は強酸性のため、国土交通省玉川ダム管理事務所の施設で温泉の中和処理が施されて河川に放流されております。玉川温泉は放射能泉ではありません。ラドンの測定値は決して高い数値ではありませんが、日本では玉川温泉にしか存在しない「北投石」が地下に存在し、ラジウム等の放射線を発しております。泉質は、酸性-含二酸化炭素・鉄(Ⅱ)・アルミニウム-塩化物泉であり、刺激の強い温泉です。

材料と方法(3)特別天然記念物「北投石」

温泉には微量のラジウムが含まれており、湯川には特別天然記念物「北投石(Hokuto-lite)」生成されています。北投石は、大噴からの温泉水が流れる湯川の川底の石の表面に皮殻状の沈殿物として生成され、鉛、ストロンチウムやカルシウムを含む重晶石(硫酸バリウム)の一種であります。世界で玉川温泉と台湾の北投温泉でしか生成されておりません。北投石の成長速度は、10年で1mm程度であり、断面は縞模様になっており、放射性元素を含む北投石からは、微量の放射線量が測定されます。

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(4)岩盤浴発祥の地

 玉川温泉一帯は、自然研究路が秋田県により整備され火山現象を間近で体験できます。自然研究路を進むと源泉&「大噴」があり、更に進むと天然の岩盤浴地が見えてきます。この一帯の岩盤は地熱があり(40℃~50℃程度)冬でも雪が積もりません。また、場所によっては北投石から放出される微量の放射線(0.05μSV/h~2.15μSV/h程度)が測定され、一般地表放射線の5~90倍と言われております。岩盤浴とは、地熱で温まった岩盤の上に横たわり、体を温めて免疫力を向上させ健康増進をはかる湯治方法であり、玉川温泉では更に、微量放射線の効果が加わりホルミシス効果が期待できると考えられます。この岩盤浴は、古くから湯治客の間で広まり、いつしか簡易テントが湯治客有志で作られたと言われており、これが現在の岩盤浴テントの始まりです。現在の岩盤浴地は、夜間の利用規制や気象状況等に応じた利用規制、硫化水素ガスの測定など安全管理や衛生管理に努めるよう岩盤管理協会を組織して管理しております。

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(5)宿泊施設概要

 岩盤浴地に隣接する「玉川温泉」と、岩盤浴地から徒歩15分程度のところに「新玉川温泉」があります。どちらも同じ源泉です。青森ひばで造られた大浴場は、源泉100%の湯、源泉50%の湯、あつい湯、ぬるい湯、弱酸性の湯、蒸気湯、箱蒸浴、打たせ湯、寝湯など多種の浴槽があり、目的に応じた温泉療養ができます。源泉100%の湯は、熱交換で38℃程度まで温度を下げ、ややぬるめの温度設定でゆっくり入浴できるようにしております。また、介護を必要とする方のために貸切の中小浴場もございます。玉川温泉には、旅館棟の他に自炊棟もあり、岩盤浴地に最も近い施設として長期の温泉療養に適しております。バリアフリーの新玉川温泉には人工岩盤浴の「温熱浴」があり、1μSV/h前後の放射線によるホルミシス効果と50℃程度の温熱効果で、入浴と組み合わせた温泉療養が、天候を気にせずにオールシーズンご利用できます。

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4.増富温泉

増富温泉地区は武田信玄が金山開発中に発見したと伝承される隠し湯があり、その効能により湯治場として栄えました。また、霊山である瑞牆山や金峰山を望む地でもあり、明治には「国民新聞」の取材のため飯田蛇笏の案内で高浜虚子が訪れこれを皮切りに井伏鱗二や中山義秀、田中冬二など多くの文人・画人が訪れた地です。昭和50年には国民保養地に指定され、そのころからラジウムの含有量が多いことが知られてきました。私どもは、ラジウム 温泉として東の横綱にふさわしい保養地作 り目指しております。最終的には、増富の湯が核となり「医の郷」として温泉郷も含む増富全体の地域振興を図りたいと考えております。そのためには、医療機関との連携が重要であります。

お客様にとって心地のよい元気の出る場 を形成するため、増富の環境を自然の循環 サークルにできるだけ近づけることを心が けております。増富の自然環境は病院では作れない環境 もあり、お客様の五感あるいは六感に働き かける体験プログラムを通じて治療効果の 上がるモチベーションに仕向けるお手伝い ができればと思います。例えば、平成23年11月に実施した保養プログラムは増富にある資源を有効に活用しつつ、下記のようなこだわりを持って行いました。
(1)温泉の活用が身体に与える影響
(2)デトックスの指導
(3)五感が身体に与える影響
(4)森林が身体に与える影響
(5)ウォーキンダの活用
(6)食事の指導

(1) 温泉の活用が身体に与える影響

体温は、その動物の周囲の温度や活動状況と細胞内ミトコンドリアのTCAサイクルでつくられる熱エネルギーによって変化します。体温が1°C上がると、免疫力は30%以上・基礎代謝は 12%上がると言われていますが、自律神経のバランスを計り入浴指導を行います。

①自律神経のバランスを整え、生きる力・免疫力を高める入浴指導
25°C・30°C・35°C・37°Cの源泉の中から その日の体調に合わせて一番入りやすい場所を探し、30分から1時間入浴をします。
②冷え性のための入浴法
最終的には37°Cの源泉に1時間程度入浴できるよう計画を立て入浴します。

(2) デトックスの指導

人間の皮膚には2種類の腺があります。 1つは汗腺でもう1つは毛根にある皮脂腺 です。通常の汗は汗腺から出てくる塩分の 含まれた汗であり皮脂腺からは通常汗は出てきません。炭素共鳴ドームを利用して加 温をし、皮脂腺が開き、そこから汗が噴き 出します。この汗の成分を (株) 島津テクノリサーチは測定し、通常汗腺の約倍の有害重金属その他の物質を検出しました。

(3) 五感が身体に与える影響

私たちはストレス過多の生活の中で、次 第に自律神経系のバランスが弱まっています。それに伴ってストレス耐性が弱まり、ストレスを過剰に感じるようになって、悪循環のスパイラルに陥り、体温調節がうまくいかなくなると身体のあちこちで異変を起こします。

◆解消法:五感に訴える運動を実施
①目をつぶり歩く
最終的には100歩を目指します。
②当館裏山の森林整備と瞑想
森林に入り瞑想場を整えヨガマットを敷き瞑想を行います。

(4)森林が身体に与える影響

『人はなぜ森林に包まれるとリラックスするのだろうか』という素朴な疑問から始 まり、木々・草花や時には動物との触れ合 いを通じて遺伝子的な記憶を呼び起こし、身体が蘇るのではないか、という思いで次 にあるコースづくりをいたしました。

◆森林浴コースの事例 (案内人あり)
①瑞牆の杜周辺散策コース・不動の滝コース
②日本百名山であり霊山でもある瑞牆山の山岳信仰を取り入れた修行コース
③平成の百名水瑞牆・峰山源流ツアー
④武田信玄の隠し金鉱跡めぐり

(5)ウォーキングが身体に与える影響

現代人は運動が少なすぎます。この運動量の著しい低下がメタボリック症候群を作り出し、病気へつながります。

◆温泉郷内の散策(案内人あり)
①針の山(メタボ解消コース)
②増富民話ラリーコース・七福神めぐり
③命の径 (こみち) コース
このコースは「増富の湯」の裏山にあり、イタリアのグロッタの温泉保養地にある散策のコースを取り入れて作りました。さらに、延長した新たなコースには森づくりのエリアを設置し、森の整備をしつつ瞑想やヨガができる場を設置いたしました。

◆登山コース(案内人あり)
①体力的に自信がある方瑞牆山·金峰山
②少しある方
摩子山。橫尾山登山。富士見平小屋の湧水めぐり

◆心と体のケア-プログラム
①カンマンボロンでの瞑想コース(案内人あり)

(6)食について

医食同源とは医の源、食の源は同じであり、これらは密接に関わっています。身土不二とは、そこで採れた物をその場で食べ ることが健康につながります。 安全な食のこだわりは、現在、山梨大学との連携事業を行っております。

①自然循環の仕組みによる安全な農地作り
・食物残渣の堆肥化
・源泉を利用した活性水作りは、クロレラ培養のための主液になり、同時に入浴剤に利用する計画
・土づくり用のクロレラ培養
②無農薬の野菜作り (体験コースあり)
これらの自然の循環サークルを作り上げていくことで荒廃した農地を改善し良い作物を提供する仕組みと構築したいと思います。 また、農場ではネギ・ジャガイモ・サツマイモ・刃物類を始め、とまと・なす・きゆ うり・にんじん等季節の野菜と山野草・き のこ園でのきのこ作りをしております。特に大豆作りは、豆乳・味噌・豆腐・枝豆目収穫等多様な体験が可能です。

なお、酵素・米翅・味噌・漬物等、増富地域で伝統的に引き継がれた発酵文化の継承も行っております。田んぼでは黒米・もち米を生産しこれらは食材に使われます。その他の魅力をご紹介いたします。

①健康教室(地医師の講座) 毎月1回開催される中国医学からみた健康教室はすでに120回を迎えようとしています。
②自調整体操(指導員あり)
骨格のバランスを自分の力で戻します。
③ラジウムオンドル浴
増富の湯の源泉水の水分を抜くとファンゴ(泥)状態になり、1〜1.5』シーベルトの放射線を出すファンゴになります。 パッケージにした源泉ファンゴをオンドル浴の床に置き一緒に加温します。38°Cほどの温度で床全体とファンゴを温め、ファンゴは患部に乗せ静かに寝ていただきます。これは細胞の活性反応の高まりを期待します。
④入浴後に整体も利用できます
源泉入浴でリラックスした身体をゆっくり深部までほぐします。

このように、医学的知見のある方々の指 導を受けここまでやって参りました。増富 に関心を持たれた方はぜひご一報いただければ幸いです。
お問合せ先
富の湯 0551-20-6500

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