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村杉温泉に関する論文より

五頭温泉郷の村杉放射能温泉について

島津 光夫 (新潟大学名誉教授)

五頭山地の生い立ち

大陸の時代(1億2000万年~9000万年前)
1億2000万年前のジュラ紀層の粘板岩やそれに9000万年前 ころ貫入した白亜紀の草水花崗岩は今の沿海州付近にありました。

大陸からの分離(1800万年前)
1800万年前の中新世の初めころ、大陸のへりが割れて、分離し、 日本列島の元になった部分は南に移動し、現在の位置に止まり、大 陸との間に古い日本海ができました。

グリ-ンタフや泥岩の堆積した時代(1500万年前)
中新世の中頃、古い日本海のへりの浅い海底に礫岩、砂岩、石炭層 が堆積しました。海は次第に深くなりましたが、その海底で激しい 火山活動が起こり、津川層(山の神層)のグリ-ンタフ(溶岩や凝 灰岩)が堆積しました。流紋岩も貫入しました。海は次第に深くな り、七谷層(魚岩層)の泥岩が堆積しました(羽黒付近の石油のも と)。笹神や水原の西の越後平野のあたりでは、七谷層の上に寺泊 層(泥岩)、椎谷層(砂岩、泥岩)が厚く堆積しました。

隆起の始まり(300万年前)
堆積盆地の東端の笹神地域では地盤の隆起が起こり、堆積物は陸上 に顔を出し、浸食されました。そしてその上に、浅い海底で大日層 (礫岩、砂岩、シルト岩)が「不整合」に堆積しました。その後、 陸上に顔を出したり、沈んだりを繰り返し、100万年前ころ、浅 い海底に山寺層(礫、砂、シルト)、笹神層(礫、シルト、炭層) を堆積しました。

本格的な五頭山地の上昇と土石流

五頭山地の隆起と土石流の発生(50~25万年前)
五頭山地の隆起が激しくなり、高い山になりました。この頃は、ミ ンデル-リス間氷期といわれる時代で、気温は上昇し、雨も多かっ たと思われます。そのため風化した花崗岩は大雨が降ると崩落し、 大きな土石流が発生しました。笹神丘陵はまだ山になっていません でしたので、土石流は笹神まで広く埋め尽くしました。これが赤く 風化した五頭土石流です。その後笹神丘陵が隆起しはじめました。 山はまだ低いので、中山土石流や大日原土石流は谷筋を通り笹神ま で達しました。

五頭山麓に人間が住み始めた(3万年~1.8万年前)
旧石器時代にあたりますが、羽黒の真光寺山などに人が住んでいた ことが石器などにより知られています。3万年前ころには、五頭山 地と笹神丘陵の間に断層で区切られた溝状の村杉低地帯ができ始め ました。五頭山地は更に高くなりました。新発田-小出構造線が顕 在化したのはこの頃と思われます。そのころに発生した今板土石流 や村杉土石流はおもに村杉低地帯を埋めました。

縄文時代以後(1万2000年前から)
縄文時代は1万2000年前から2300年前までですが、縄文時 代の中~後期(5000年~3000年前ころ)ツベタ付近で土石 流がたびたび起こりました。土石流堆積物の中の黒土の中に土器の かけらが入っています。その頃は水原などはまだ潟か湿地帯で生活 に適していなかったため、土石流のでる山麓に縄文人が住み着いた ものと思われます。

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出典:村杉温泉に関する論文より

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